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  [ブランド名]
ヴィクター&ロルフ(Viktor&Rolf)

[解説]
 アートとファッションの境界線を行き来する、斬新なコンセプトのブランドです。シャツを10枚重ねて異様に襟が大きいドレスに仕立て上げるといった、アート風の作品で、パリのモード界を挑発し続けています。近年のパリコレクションでは最もドラマチックでニュースフルなブランドと呼べるでしょう。

 ヴィクター・ホルスティング(Viktor Horsting)とロルフ・スノーレン(Rolf Snoren)の男性2人組が仕掛けています。オランダを拠点にする「ヴィクター&ロルフ」はエスプリの効いた企みを好むようです。2001年秋冬の最初のパリコレクションの衝撃は今も忘れられません。モデルは全員、髪もメークも黒一色。もちろん黒ずくめでキャットウォークに登場。最後にはデザイナー本人も真っ黒な姿で現れるという演出でした。

 その次の2002年春夏では白一色と、立て続けに特定の色をテーマにしたコレクションを発表しました。色彩を決め打ちし、シルエットやカッティングを際立たせた彫刻的なコレクションはまるで毎年、流行色を自ら作り出しては消費するモード界の古い体質との絶縁を宣言しているかのようです。

 2005年春夏ではリボンが重要なモチーフになりました。リボンを縦1列に並べたデザインや、巨大リボンを大胆にあしらったドレスなどが目を引きます。リボンのほかにも、ハート柄や花柄など、これまでよりもフェミニンなスタイルを採り入れる動きが見られます。マスキュリン(男性的)でいながらエレガントなラインで知られた「ヴィクター&ロルフ」ですが、メンズラインがスタートしたこともあってか、レディースに新展開が出てきたようです。

 デザイナー自身をブランド化させるのが、「ヴィクター&ロルフ」の戦略のようです。ショーにも準主役としてしょっちゅう姿を現しますし、古いモードを斬って捨てるような発言も痛快。知的なブランドイメージづくりに成功しています。

 彼らの分身とも言えるのが、手紙の封をするのに使うロウに「V&R」とエンボスした封ロウマーク。そのままアクセサリーにもなっています。お揃いの蝶ネクタイはまるで一卵性双生児のようなそっくりの風貌を持つ2人のもう一つのトレードマークです。

 裾を斜めにカットし、アンバランスなまでに長くしたシャツや、ドレスとパンツの組み合わせなど、常識を否定するようなラインを提案しています。ただ、無理に計算してひねり出したこしらえ物の「アバンギャルド」ではありません。きわどい試みを成立させているのは、オートクチュール(高級注文服)で培ったカッティングや縫製の技術でしょう。

 斬新なショー演出には、「デザイナーの仕事はファンタジーの創造」と言う「ヴィクター&ロルフ」なりの必然性が感じられます。2004年には内外の有名デザイナーの作品を「色」という切り口で掘り下げた大型美術展「COLORS ファッションと色彩」で総監修を任されました。ファッションとアートを高い次元で融合させている彼らならではの仕事と言えます。ちなみに彼らのフェイバリットカラーは黒だそうです。

 アパレル大手、オンワード樫山のキャリア女性向けブランド「ICB」で、2002年春から「ICBコレクション」のデザイナーを担当しました。2003―2004年秋冬からメンズラインをスタート。造形の美を問いかけ続けるヴィクター&ロルフの挑戦はまだまだ続きそうです。

●ブランドデータ


[本国]
オランダ(アムステルダム)。コレクションはパリ


[経営・日本での展開]
 日本法人はなく、セレクトショップでの展開。

 「組曲」「23区」「五大陸」などのブランドを手がけるアパレル大手のオンワード樫山はブランド「ICB」に「ヴィクター&ロルフ」を2002年春から起用し、「ICBコレクション」として展開した。

 「ICB」は「都会的で洗練されたキャリア女性」がターゲット。オンワードとしては初めて海外で企画から販売まで手掛ける世界発信ブランドだ。ブランド名も「インターナショナル・コンセプト・ブランド」の略となっている。

 1995年のブランド立ち上げ時点のデザイナーは米国人のマイケル・コース(Michael Kors)氏。コース氏は1998―99年秋冬から「セリーヌ(CELINE)」のレディースのデザイナーを務めた。オンワードは「マイケル・コース」ブランドのライセンス事業も展開。ライセンスブランドにはほかに「ジャン・ポール・ゴルチエ」「ポール・スミス」「ソニア・リキエル」などがある。

 「ICBコレクション」は商品のほとんどをイタリアで生産するという形で、高級感を前面に出している。商品の大半を生産するのが、イタリアの子会社、ジボ・コー(GIBO CO.、フィレンツェ)。アレクサンダー・マックイーン氏やヘルムート・ラング(Helmut Lang)氏の生産・販売を請け負ってきたジボ社は英国人女性デザイナー、ジュリー・ヴァホーヴェン氏を起用し、2003年春夏物から自社ブランド「GIBO」を立ち上げた。

 「オンワード樫山」という社名は キリスト教の賛美歌「オンワード・クリスチャン・ソルジャーズ」からの命名。英語の「onward」は「前に」という意味もあることから、創業者の樫山純三が商標として選んだ。旧社名の「樫山」から88年に商号変更した。

[歴史]
 ヴィクター・ホルスティング氏は1969年 イスラエル生まれ。ロルフ・スノーレン氏は同じく69年 オランダ生まれ。共に「アーネム(Arnhem)芸術アカデミー」のファッション科卒。

 同級生だった2人は93年にブランドを立ち上げた。デビューの年、南フランス・イェールのヨーロッパ新人デザイナーコンテストでいきなりプレス賞、レディース部門最優秀賞、イェール市賞を受賞。以後、さまざまな形で作品を発表していくが、時代を先取りしすぎていたためか、ビジネス的に大きな成功を収めるには至らなかった。

 98年、パリでオートクチュールを発表。2000―2001年秋冬にパリコレクションでプレタポルテデビュー。黒一色の構成が圧倒的な評価を得て、2人は一気に成功の階段を駆け上っていく。2002―2003年秋冬からメンズラインがスタート。

 2003年にパリ国際衣装テキスタイル美術館(ルーブル宮)で回顧展が開催された。2004年にファッション美術展「COLORS ファッションと色彩 VIKTOR&ROLF&KCI」が京都国立近代美術館と森美術館(東京・六本木)で開催された。2005年から化粧品会社大手のロレアルと組んで香水「フラワーボム」を発売。

[現在のデザイナー]
ヴィクター・ホルスティング氏とロルフ・スノーレン氏 [キーワード]
アート、彫刻的、黒、リボン、知的


[魅力、特徴]
 ブラウスやカットソー、ジャケットなど、トップスにインパクトがあるものが多い。知性を感じさせるエレガントなデザイン。カッコいいだけでなく、センスがよさそうに見える感じ。カッティングもきれい。

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